日本のRPGの代表とも言うべき「ドラゴンクエスト」。2013年11月にはケータイ版に続いてスマートフォン(Android/iOS)版も登場し、気軽にプレイできるようになりました。

今では、ドラゴンクエストも「人気ゲームの一つ」ではあっても、それほど「特別」なものではないのかもしれません。ただ、私のようにファミコン版をリアルタイムでプレイしてきた世代(の一部)にとっては、今もなお「特別」な存在ではないでしょうか。ドラゴンクエストで「人生」を変えられた人も多いでしょうしね。

最初のファミコン版ドラゴンクエストが発売された1986年当時、私は中学生でした。といっても、プレイしたのは発売されてから少し後で、最初は「よくわからない」ゲームという感じだった気がします。
ロトの洞窟に入ったとたん画面が真っ暗になって、途方にくれたこともありましたっけ。

ただ、プレイし始めると「作戦を立てて敵と戦う」「自分が成長する」コマンド式RPGの世界に魅入られるのに時間はかかりませんでした。敵と戦い、入手したゴールドで武器や防具を買い揃えていく。レベルが上がり、武器や防具も強化していけば、今まで苦戦した敵にも余裕を持って勝てるようになる……
その「過程」というか、「倒せる敵、行動できる世界が広がっていく」感覚がとにかく楽しかったですね。

ファミコン版ドラクエ1では、セーブ機能がなくてゲームの保存には「ふっかつのじゅもん」というパスワードを使います。ラダトーム城の王様に話しかけると、レベルアップに必要な経験値とふっかつのじゅもんを教えられるので、それをノートなどに書き留めておくわけです。
もちろん、間違えばアウト。ですから、なるべくこまめにふっかつのじゅもんを書き留めるようにして、バックアップを作っておく必要がありました。私は30年近く経った今でも、ドラクエ1のレベル20(クリア直前)のふっかつのじゅもんを覚えていたりします。

ドラゴンクエストで「RPGの楽しさ」「ゲーム世界を冒険する魅力」を知った私は、自分でもその「世界」を作ってみたくなりました。そして、パソコン(MSX2)で「ドラクエもどき」の開発をするように……
典型的な「パソコン少年への道」ですね。

まぁドラクエもどき、といっても当時の私が作っていたのは、BASICで地形キャラクタ(文字を変形し色付けしたもの)とスプライトを表示し、簡単な戦闘シーンや会話、商店を出す程度で、ドラゴンクエストとは似ても似つかない代物でしたが。

コマンド式RPGというものは、高度なアクション処理が不要なためゲーム開発でも比較的「入りやすい」分野といえるでしょう。それでいて「本格的」にやろうと思えば、イベント処理のためのスクリプトシステムや戦闘シーンのエフェクトなど高度な内容を盛り込みやすい。
さらに、システムというプログラミング面だけでなくシナリオやグラフィック、音楽など「素材」にこだわる楽しさもあります。

総合的な「プログラミング力」「創作力」を磨くのに、最適な課題なんですよね。

私も、ドラゴンクエストをきっかけにはじめた「RPGらしきものの制作」を通して、多くのことを学ぶことができました。そして、それは今も同じです。JavaScriptベースのスクリプト型イベントシステムの開発実験のために、11式RPG制作機を作ったりしていますし。

1980年代、多くの少年たちを「パソコン少年」「プログラマ」への道に導いたドラゴンクエスト。現在の「(特にゲーム系)開発者」の中にも、ドラゴンクエストが「プログラマとして歩き始めた出発点、原点」という方が少なくないのではないでしょうか。

これまでドラゴンクエストをプレイしたことがない、という方は、機会があればぜひこの「歴史」を作ってきたゲームに触れてみてください。私も、Android版で久しぶりにアレフガルドに帰ることにしましょう。


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