スマートフォンに挿して通信回線として使える格安SIM。2012年は月1000円以下の格安SIMの世界が急拡大して、かなり人気が出てきているようですね。

格安SIMの通信速度は、今時の携帯回線(の表記速度)から見れば「桁違い」に低速の128Kbps程度です。ただ、この速度でも安定して通信が出来るなら通常のWebサービスを使ったりサイトを閲覧する分には、それほど困ることはないでしょう。

128Kbpsというのは、100KB程度のデータを10秒足らずでダウンロードできることになりますが、Webページなら大きな画像を並べたり動画をインラインで埋め込むなど「重い」内容にしない限りは100KBを超えることはあまりないはずですので。

私も、以前からバックアップ回線や外出時の通信手段として格安SIMの導入を検討していたのですが、iPhone4の2年縛りが切れるのを機にソフトバンクを解約して格安SIMに切り替えることにしました。

問題は、どの業者にするか。既に1000円以下の格安SIM市場は競争が激化している状況ですが、回線の卸元はみんなドコモなんですよね。だから、どこも同じ通信品質……というわけではなく、実効速度などでは差が出ます(接続できる地域は基本的に同じはずですが)。

各業者は、ドコモから回線(の帯域)を買ってそれで通信網を構築し契約者に使わせているので、通信帯域に対する契約者の数やネットワークの設計しだいで「繋がりやすさ(遅延)」「実効速度」に差が出るのです。

検討の結果、私が選んだのは、IIJのIIJmioでした。比較的安定した速度で遅延も低そうだったので。プランは、128Kbpsで月額945円の「ミニマムスタート128プラン」。

早速イオンの店頭で「IIJmioウェルカムパックfor イオン」を購入し(3150円)、中古で買ったドコモ用3G/Xi無線LANルーター「BF-01D」にSIMを挿入。テストも兼ねてBF-01dに有線LAN接続したパソコンのWebブラウザ上でIIJmioのAPNを設定……しようとしたらなぜか説明書にあるIPで接続できずあせりましたが、一度設定をリセットすると無事接続できるようになりました(前の所有者がIPを変えてた?)。

気を取り直してAPNの設定を行うとIIJmioのサイトに接続できるようになる(他のサイトへは不可)ので、続いてIIJmioの会員登録を行います。ただ、この際に「メールアドレスの登録」「メールで送られてくる確認コードの入力」が必要になるので、「インターネットでメールを確認できる環境」が必要になるんですよね。

つまりIIJmioウェルカムパックfor イオンに同梱されているSIM以外のネット接続がないと、申し込み手続きが出来ません。メールアドレスなんて申込者の個人認証にはならないのだから、どうしてこんな仕様(ネット接続を提供するSIMの申し込み時点で他のネット接続を要求する)にしているのか、不思議です。

あと、確認として送られてくるメールタイトルが英語なのもちょっと……スパムと間違いそうになる(フィルターの設定によってははじかれる)でしょうに。

仕方ないのでiPhone 4でメールを確認してコードを入力、会員登録に続いてクレジットカード情報入力などSIM開通のための手続きをします。手続き後はすぐにSIMが有効になって、外部サイトにアクセスできるようになりました。

試しにFTPで1MB程度のファイルを落としてみると、かかった時間は50秒足らず。実効150Kbps以上ということになるのでしょうか。しばらく使ってみた感じでは、接続時に「ひっかかる」こと(遅延)もあまり感じさせず速度も十分ですね。
もっとも、私の自宅はつくば市南部の田園地帯というあまり「混雑」していなさそうな地域なので、そのおかげかもしれません。都心などでどうなるか、そのうち試してみたいところです。

テストの結果このまま自宅でもメイン回線として使えるのでは……という気もしますが、IIJmioは格安SIMの宿命(?)として帯域だけでなく通信量の制限があります。三日あたりの通信量が366MBを超えると「SIMカードを使った通信の速度を制限する場合があります」という微妙な表現でどの位「制限」されるのかも明記されていないものの、あまり大量のデータ通信は想定していないというか、すべきではないのでしょうね。

後日談:IIJmioとBF-01Dの組み合わせを電車で都心に出て試してみた結果、使い物になりませんでした。遅延がすさまじい(数十秒は当たり前)というか、まもとにつながらない場所(法則が良くわからなかったのですが、つながる場所もあることはある)が多すぎ。特に、電車の中はあきらめるしかないですね。
BF-01Dには、外出先で複数の機器をつなげる有線/無線LAN基地としての役割を期待しましたが、利用できる場面はかなり限定されそう。

その後、外出時の通信端末としてドコモ向けAndroidスマートフォンoptimus LTE L-01Dを購入し、IIJmioのSIMはそちらに移して使っています。L-01Dの方は、走行中の電車内でも遅延が少なく安定した通信が可能です。それにしても、通信機器によって回線との接続性にここまで差があるとは思いもよりませんでした……


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